色域の話・sRGBではCMYKの20.5%の色が見えていない現実(JP2011の色域を全部書き出してみた)

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色域の話・sRGBではCMYKの20.5%の色が見えていない現実(JP2011の色域を全部書き出してみた)20140324_1

CMYK変換するとどれくらい「くすむ」?

CMYKにするとくすむ…くすむ…と言いますが、実際どれくらいの色が色域外になるのか計算してみます。

前回エントリの続き…かな?(→PhotoshopのCMYK変換設定のキモ、プロファイル、マッチング方法、ほかを「10分で」簡単に説明してみた(154回バンフーセミナーフォローアップ) – やもめも

特に、「見た目の色」と「数値」…「カラーアピアランス」と「カラー値」は意識して見てください。

20140320-3

カラーアピアランスを固定して、RGB→CMYKの数値変換を行っているのが「CMYK変換」です。

色をできるだけ再現しようとするのですが、表現できる色の範囲が違うため、どうしても「見た目の色」も動かす必要が出てきます。それが「くすむ…」原因になっています。

ではまず、RGB全色(全カラー値)の記録されている画像を持ってきます。

All 16,777,216 RGB colours « David Naylor: Blog

こちらからRGB16,777,216色を一枚の画像にしたものをお借りして作業します。

ちなみにこんな感じの綺麗なRGBmapもありますが、All RGB colors in one image | Joco blog 色数がちと足りないのでパス。でもきれいですねこれ。

▼sRGBにJapan Color 2011 Coatedの色域外表示させたもの。白い部分が色域外

20140324srgb2cmyk

▼Adobe RGBに色域外警告を表示したもの。

20140324adobergb2cmyk

Adobe RGB画像をCMYK(JP2011)にすると、約58%が色域外になる計算です。色域外なのでマッチング方法(レンダリングインテント…知覚的とか相対的とか)がうまく色を圧縮してCMYKで表現しようとするところですね。

sRGBの場合は、45%が色域外でした。Adobe RGBよりも少ない。それはそのはずで、

Adobe RGBはsRGBよりもかなり大きな色域です。

20140324adobergbsrgb

▲内側がsRGB、白がAdobe RGBの色域の大きさ

大きいので、小さなCMYKの色域と比較すれば削られる割合は大きい。

そして、カタチや大きさの違うCMYKの色域も、Adobe RGBならだいぶ内包できます。

▼Japan Color 2011 Coated(内側)、Adobe RGB(外側)

20140324adobergbcmyk

sRGBではCMYKに対しても小さすぎて、はみ出ます。

▼Japan Color 2011 Coated(内側)、sRGB(外側)

20140324srgbcmyk

小さなsRGBの色域では、内側のCMYKの色域がはみ出す部分が大きいところも注目してください。sRGBの立体から、CMYKの立体がかなり飛び出ていますね。

特に黄色と緑、シアンは、CMYKの方がsRGBよりも彩度の高い色を表現できます。

実際の数値は

全色使った画像なので凄い数値が出てますが、実際にはそこまでいきません。たとえば、

20140324a0002_009224_m

このsRGB画像の場合、色域外は4%に過ぎません。

そしてAdobe RGB画像(掲載用にsRGBにしています)

20140324_DSC5107

色がたくさんあるこの画像でも、色域外は14%程度です。

普段のスナップ程度ならあまり問題にならないってことですね。

ではこれまでと逆に、CMYKで表現できる色に対して各RGBはどれくらい「足りない」のかを見てみましょう。

Japan Color 2011 Coatedの色域を全部書き出して、RGBと比べてみる

Lab値を0-100,-128-127,-128-127で舐めてCMYK値を書き出し、同じ値を削除して一枚の画像にしました。

プロファイルはJapan Color 2011 Coatedを使います。書き出した画像はこのプロファイルの色域内のものになっているはずで、CMYK各100%といった非現実的数値は入っていません。プロファイルに従って変換されたJP2011の数値です。

書き出しの諸々は:photoshop – CMYKカラーを全て書き出す – Qiita に置きました。

元ファイル: AllCMYKColorsJP2011.psd

では、全CMYK色に対し各RGBで色域外警告させてみます。

▼元のCMYK画像(縮小しているので、試したい時は上の元ファイルを)

AllCMYKColorsJP2011

▼Japan Color 2011 Coatedに対してAdobe RGBが再現できる色はこれだけ。白は表現できない部分です。

20140324adobergb

▼sRGBはさらに表現できない色が増えます。

20140324srgb

Adobe RGBでも、CMYKの色域を100%は生かせていないことが分かります。

Japan Color 2011 Coatedで表現できる色のうち8.5%は、Adobe RGBでは表現できません。

が、

sRGBの場合。

CMYKで表現できる色のうち、20.5%がsRGBでは表現できません。

つまり、sRGBモニタやsRGBデータは、CMYKを79.5%しか生かしきれない、ということになります。

別の図で見てみましょう。

(カタチが誤解を招くものになってますが、あくまで再現色域の図として見てください。緑色はほぼCY100%の緑、というように、CMYKで表現できる最高の色にしています)

▼Japan Color 2011 Coatedでできた画像に対してAdobe RGBの色域外警告表示(黒)
20140324AdobeRGBxy
▼sRGBの色域外表示。黒い部分はsRGBでは表現できない色(のイメージ)
20140324sRGBxy

もう一つ比較図を…

▼Adobe RGBからJapan Color 2011 Coatedに変換したもの。

20140324adobeRGBchart-re-perceptural

sRGBからJapan Color 2011 Coatedに変換したもの。緑やシアンがだいぶ浅くなっています。

20140324sRGBchart-re-perceptural

sRGBではCMYKの色を生かすことはできない

sRGBモニタでも分かるように変換していますが、色の差は分かると思います。

歴然と違いますね、sRGBとAdobeRGBでは。

CMYKのインキが実は再現できるはずの色が、sRGBモニタでは(sRGBデータでは)見えない&再現できない、ということが分かるかと。

それでも、元ソースがsRGBのコンデジ画像やフリー素材ではあまり問題になりません。

問題になりそうかな…と思うのは、Adobe RGB画像を扱う場合と、CMYKを数値で直に描いた場合です。

CMYKで描いていても、カラーパレットから色を拾う分には表示もsRGBに落とされているので「見た目の色」と「CMYK値」は一致しています。

CMYKを数値で、例えば C100%、Y100%の緑、と指定してsRGBモニタで作業した場合は、モニタで表現されている色(カラーアピアランス・見た目の色)と指定値(カラー値)がズレてしまうことになります。

やはり数値指定でのsRGBモニタでの作業には経験と勘が必要になってくるわけですね。

広色域モニタ&測色機も安くなってきてる!

でもやっぱり見た目の色と数値は一致していた方が作業はしやすい。今検索するとAdobe RGB対応モニタてかなーり安いのも出てますね…いやびっくりだコレ

だんだん広色域の敷居が下がってきてますから、導入を考えてみてもいいのかな、と思います。

買っただけでは色は合いませんから、できれば一緒に測色機を導入しましょう。

X-RiteやDatacolorは、国内流通品でないと一切のサポートをしてくれません。i1 Display2あたりの価格だと別にいいかもしれませんが、ColorMunki PhotoやDesignクラスは保証付きの国内正規流通品を

Color Munki Photo X-rite カラーモンキー・フォト エックスライト(PANTONE Color Resources)

から購入した方がいいでしょう。一応、Amazon購入でも販売者の保証が付いていることもありますが、国外送りになるので2〜3週間待たされます。

まとめ


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