総インキ量(TAC値)を落とすためだけにJapan Color 2001 Uncoatedを使ってはいけない理由

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総インキ量(TAC値)を落とすためだけにJapan Color 2001 Uncoatedを使ってはいけない理由総インキ量を落とす方法については過去にも書きましたが、改めてJapan Color 2001 Uncoatedの使用について。

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プロファイル変換が何をしているのか、についてはこちら。
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総インキ量を落とすためだけにUncoatedを使うのは危険

それまでJapan Color 2001 Coatedを使っていて、それで入稿した後に、印刷屋さんから「TAC値を落として欲しい」と連絡があった…という場合。

この状況はつまり、

用紙もインキも印刷機にも変更がないのに、総インキ量のみ落とさなきゃいけない

ということになります。

この時に、安易にプロファイル変換すると大変危険です。できればカスタムCMYKでの「入稿後の再変換」も避けたいところ。

ここではUncoatedの使用に絞って見てみます。

「カラープロファイル」は印刷仕様の「レシピ」

CMYKプロファイルには、

  • 紙の白さ(=用紙種類)
  • 各インキの発色(用紙、印刷条件での発色)
  • 全濃度でのインキのバランス(グレーバランス)

などが記録されています。つまり、印刷条件(紙、印刷機など)が揃った場合にその発色になるよ、というシミュレーションができます。

CoatedとUncoatedプロファイルの内容を簡単に見てみましょう。

201409211157-1_02 201409211157-1_04

上の写真はPhotoshopでカラープロファイル適用直後のものですが、あまり変わって見えませんね。

それもそのはずで、「こういう条件で印刷したらこういう色になりますよ」というシミュレーション表示を、Photoshopがやってくれているからです。

ところが今回は、「印刷条件は全く同じだけど、総インキ量だけを落としたい」ためにUncoatedを使っています。その場合、

Coatedの印刷条件で、Uncoatedの印刷条件になってしまったデータを印刷する

ことになります。

実際どれくらい変わるか

見た方が早いですね。

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どうでしょうか。全く違います。モニタ上で「この色がいい!」と補正したり描いたりした色が印刷すると全く別の色になってしまうわけです。

データ上、これだけ違うのですから当然です。各チャンネルの濃度を見てください。

201409211157-1_13

 

繰り返しますが、Photoshopはプロファイルで想定している印刷環境をシミュレーションして表示します。

そのため、変換直後は色はあまり変わって見えません。しかし、CMYK値は変わっています。

 

201409211157-1_11

PhotoshopのCMYK変換設定のキモ、プロファイル、マッチング方法、ほかを「10分で」簡単に説明してみた(154回バンフーセミナーフォローアップ)

でも書きましたが、プロファイルの運用では「徹頭徹尾、最後まで同じプロファイルを使うこと」が大変重要です。

(プロファイルを埋め込みしていなくても、「アプリケーションデフォルト」として「作業用プロファイル」が表示や分解に適用されています。埋め込まれないだけ)

この場合、最悪のタイミングでプロファイルを変更したため、印刷するまで色が変わったことが分からなくなってしまった訳です。

(実際には確認は簡単にできますが)

 

実際に刷ってみた

コート紙に、プロファイルを変えたデータを並べて刷ってみました。

左がJapan Color 2001 Coated、右がUncoatedです。元データは未補正のまま。

img048

「どちらが好ましいか」という視点で見ないでくださいね。掲載画像はスキャンしたままですので少し暗いですが、モニタ上で確認した色味は当然、左の方が近いものになっています。

ついでに上質紙にも同じデータを刷ってみました。

img049

さて、どうでしょうか。「上質紙だからUncoated」という訳にはいかないだろう、ということがわかります。

これがきちんとPhotoshopシミュレーション通りに刷られるには、印刷会社との話し合いが絶対に必要です。

Coatedも同様なのですが、「とりあえずJapan Color 2001 Coatedで」がデファクトスタンダードになってしまい、また印刷会社もCoatedの発色を「目標としている」だけ、なのが実態です。とはいえ印刷会社もかなり頑張っていて、とりあえずコートではJP Coatedの発色は80点以上の色で出ているはずですが。

Photoshopで「印刷される色」をシミュレートする

別のプロファイルを使ってCMYK変換したものの色を確認したい場合は、色の校正機能を使いましょう。

表示メニュー>校正設定 から「カスタム…」を選択します。

201409211157-1_06

「シミュレートするデバイス」=印刷機・印刷条件に「Japan Color 2001 Coated」を選択し、「CMYK値を保持」にチェックを入れます。印刷会社によっては「Japan Color 2011 Coated」になるかもしれません。

 

尚プロファイルを変換したい場合は、絶対に「カラー設定」を触ってはいけません。Photoshopの「カラー設定」はアプリケーションデフォルトとして色々な機能に影響していますし、元に戻し忘れるなどの事故を防ぐためにもここは「編集メニュー>プロファイル変換」を使ってください。

 

総インキ量の調整は最初から

「明日印刷しないと間に合わない」なんて状況で、プロファイル変換(カスタムCMYKでも同様です)をしてしまうリスクが結構ものすごいものになることを理解していただけましたでしょうか。色校正後ということは無いと思いますが、入稿する側としては

一番最初に、印刷会社に「印刷仕様」を確認する

ことが大変、身を守るためにも重要です。

そもそもCMYK入稿縛りにしておいて、Japan Color 2001 Coated(総インキ量350%)が使われることが想像できるのに何も言わない印刷会社は相手にしてはいけないだろう、と思います。後からのTAC値変更のリスクは双方にあり、無駄かつ危険な作業の代表格です。

この件に関して、自らアクションを起こしている印刷会社はごくわずかです。JMPA入稿規定もろくにこのことを書いてません。未だに「TACの確認にはPDFの機能を…」しか書いてない有様でどうしようもない。TAC値制限方法は、印刷会社側からやりかた、プロファイルを提示すべきものです。なんたって印刷側の都合なんですから当然です。これについても「カスタムCMYKで…」のみでインキ設定はSWOPのままでやり方として書いているところも多く、本当にそれでいいの?と思ってしまいます。またマット紙のプロファイルとしてUncoatedを指定しているところもありますが、マット紙は塗工紙であって上質紙ではありません。どういうわけだこれは。

ガンガン質問しよう

というわけで、CMYK入稿の場合は印刷会社に聞けることを全て聞く、のが消極的解決策です。たぶん現状ではこれしかありません。残念。


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1件の返信

  1. 2016/10/28

    […] 総インキ量(TAC値)を落とすためだけにJapan Color 2001 Uncoatedを使ってはいけない理由 […]

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